息を吸って止めて




単調な私の世界、
日々の会話は「息を吸って」「はい止めて」
それですべてが始まって終わる。
いまは機械がちゃんと喋ってくれるので、
もう お口はチャック。
だから、使わない言葉は退化する。

健診バスの中で
聴力検査、
1000hzと4000hzを変えながら
「音の出ている方はどっちですか」と
言わなければならないのに
つい「息をすって」「はい止めてください」
って言ってしまった私。

 わたしを生きているつもりで
退化していく私

  いま、わたしには自信がない。。君のような自信がない。
 君の軽蔑した瞳が私を照射するのがいやで、
それを避けるようにいつの日にか、
私の瞳は宙をさまよいはじめる。
わたしと君の間には
言葉が通わない。

すべては私の怠惰の乱反射のせいなのだろう。
わたし自身が人間でないように思えてしまう。
もうこのまま「息をすって、ずーーと止めてしまいたい」
消滅してしまいたいという思いで、
わたしの、暗い夜がいまはじまる。