静寂の門

窪田さんは長年、新聞記者をされた。「新聞記者になって、四百字詰めの原稿用紙と決別しました。十五字詰めの原稿用紙に向かう日々が始まったのでした。三十六年間、多くの文章を書いたのでしょうが、残ったような、何も残らなかったような複雑な思い」で「その思いが詩作につながった」という。鉄人みたいな人である。芯があって、それでいて不思議に柔らかいひとだ。鉄といえば・・私はドイツ語を思い出す。カキーンと硬くて・・到底私の口には合わないのだが・・窪田さんの魅力的な低音の声はドイツ語にあうのだろう。わざと関連づけた訳ではないが、日独協会のお仕事も。あるときは高齢社会の研究の先頭にも立たれている。そんな多忙な人が詩を書いておられた。光栄にもその詩集を頂いた。難しい詩が多いなか、窪田さんの詩は分かりやすい。