私の推薦図書 2004年1月25日

  

俳句的生活 780円+税
     長谷川櫂著
中公新書1729 2004年1月25日発行
俳句は人生を変える
帯のとおり長谷川櫂の人生は「俳
句」を中心に動いている。

俳句をとおしていろんな出会いがあ
り,自ら思考を実践する強い意志に
満ちている。
私は彼がうらやましい。好きなこと
に身を沈めて堂々と生きていること
が。
いよいよ中公新書で全国の本屋さ
んに並ぶ。これまでの句集や評論
は、大きな書店の特別コーナーに
出かけないと触れることがなかった
が、これからは街角の本屋さんでも
気軽に手にとれるのだ。

 1月23日 印刷元から届いた初対
面の本をパラパラと眺めてみた。
とりわけ”第三章 取り合わせ”での
谷崎潤一郎「細雪」についての論考]
が気にいった。戦争があっての谷崎
の「細雪」・・ふつうの言論人が書け
ないことをあえて弾圧の中で書いた
女性たちや恋愛、これは平和時に
書いても意味を持たないこと。
しかし映画化された「細雪」にはその
ほとんどに主軸である戦争や混乱が
映画化されることがないことを嘆いて
いる部分。また彼自身仕事で関西へ
単身赴任したおり震災1年後の芦屋を
住居(谷崎が暮らした)と定め谷崎に
ついて、小説で描かれた残影を眺めな
がら暮らした。櫂自身の思考とつなが
る日常生活もちらほら読みとることが
できる。
 今年2月で彼も50歳。これからも素
晴らしい俳句や俳論、名著を世に出し
ていくだろう。目が離せない幼友達の
一人である。
このページを訪問した人は「俳句的人
生」を ぜひ書店で求めて欲しい。
第五章「捨てる」・・・・・・・・・・・・・・・→
本を捨てる気持ちがよく分かるところ。
第六章「庵」もなかなか面白い。
人生での迷いもあっけらかんと書かれている。