研究 アーカイブ

 2015年9月26日 暇にまかせて山小屋にて書庫を整理中にたまたま発見 FAXなので文字が既に消えかけているのでこのままにしておくと何も無かったことになるのかなと勿体ない精神
で指導文書を私の覚え書き庫に保存(これは 何所からいつでも読むことができる私用の書庫)






1998年
「おしっこでストレス測定」
・・物言わぬ高齢者のケアの評価測定へつなげるためのアイデアを実験した。
 籏野先生からの手紙  ・・ 1998年 (院1年目の頃)
 
 1998-12-28の日付のFAXから
長谷川博様

西風先生から別紙のようにコメントが届きました。
私の質問に直接答えてはいませんが、ご参考にはなりましょう。西風論文と共に熟読して下さい。

 リンク 西風先生のFAXはこちら

彼の今回のFAXを含めて17OHCS(之れはcortisolの代謝産物と今回ハッキリ書いてあります。17KS-S(その由来はDHEA-S他3種)を中心に 図示したものです。尿中に出る17-KS化合物であってもグルクロン酸結合体は由来を異にすると述べていますが、我々には関係ありません。それより私がその他?と書いた部分の寄与の大小と何が関係あるのかが気になる所です。以上ご連絡まで                     H10.12,28 籏野脩一 

1998-12-19 一通目の手紙(FAX)
前略
 なかなかの力作で、僅か2例に過ぎないのに丁寧にデータの解釈を試みたご努力を高く評価します。ただ何れも”こじつけ"と言われなかねない事後の解釈であり、査読者によっては、
厳しく評価されるかもしれない。できれば査読があって掲載してくれる雑誌をびたいと思います。なおできれば地方会でいいから、学会発表して批評を受けてから発表するほうが望まし
いが、何か九州地方には無いだろうか。
 西風先生にはなるべく早く君の原稿を送るべく目を通しましたが、多くの点で訂正を要します。先生の説を誤解したままでは送付するのは失礼です。こちらとしては、最終稿に近いも
のまで手を入れて仕上げてからお目にかけるべきだと思うので、朱を入れてお返しします。→*現物はこちら(pdf)

 ホルモンとその代謝物との区別のような基本的な理解については、原稿を書き直してから西風先生に送るべきだ。このまま読んで頂くわけにはいかないと思う。一応手を加えてありま
すので、読み難いだろうが、直してください。直した後も読み直して、できるだけ完成度の高いものにしてからメールでも結構(今すぐにはFAX、コピーの方が確実なのでありがたい)で
すから、送ってください。最終稿ができるまでには、また何回かのやり取りが必要だろおうと思います。
 測定数値が小数点以下多数の桁まで載せてあるが、測定精度によって、信頼できる数値までで打ち切る必要がある。住友バイオの報告自体がおかしいのだが、川上氏に電話して確かめるのもいいでしょう。(適当にはしょるのではない)
 文献引用でも、セリエを引用するならキチンと彼の論文を出すべきです。原著論文では、孫引き(原典に当たらず他人が紹介しているまま引用すること)をすべきではないのですが、今回の論文程度ならまあいいと思う。ただ引用紹介であることを文献の項にハッキリ書いておくべきだ。また引用論文にある2に相当する所が本文の中に見つからない。また表のタイトル右肩に打ってある4,5は文献?が無い。
以上取り敢えずの意見を付して、原稿をお返しします。                       1998.12.19  早々 旗野脩一

 同日付け2通目の手紙(FAX) ーーー

長谷川博様
 前略
 西風先生から最近のペーパー2部をご送付頂きましたので、あなたに1部お送りします。よく読んで理解を深めてください。
産業医大誌の論文は、学長依頼で、彼の研究の全容と伝えるように、まとめてもらった啓蒙的な論文で、西風さんも、そのつもりで、分かりやすく書いたものだと言っていました。
 所で、その内容を見て、17-OHCSが何者であるかが私にも分からなくなりました。17-OHCSはコルチゾールを指すようにも書いてあり、尿中へも出てくると書いてある。代謝産物とは書いてない。
 17-OHCSというのは、ステロイド(コレステロールも女性ホルモンも共有構造を持った物質の総称)で、そのうち副腎皮質から抽出される成分で、コーチゾール様作用をもつもの(類似構造のもの多数混在)をコルチコイドと称し、そのうち17位の炭素にOHが付いたものを、17-OHCSと総称し、これまた何種類かあると理解しています。DHEAもステロイドですが、3位にOHが付き、de-oxyと言いますから、恐らく17位の=0が取れてH2かOHになっているのだろうと推察します。ケトステロイドと総称されるものは、17位がオキソ基=0で置換されたものの総称です。それに硫酸基が付いて安定した形で排泄されるのだと思います。(参考資料同封)
 そこで私が直した所は正しいとは言えないようです。少なくとも17-OHCSについてはコーチゾルそのものも出てくるかもしれない。そこで、この疑問を呈しつつ、あなたの論文を無訂正で送ることにしました。彼の返事を待って校正が可能になります。
 ご苦労様でした。よいお正月をお迎え下さい。 
                   1998.12.19 早々 籏野脩一

追伸 なお cortisolは英語でコーチゾールと発音しますが、コルチゾールと書く人も多いようで、日本語での学会用語はこちらかもしれません。同じものですが、後者を使う方が無難でしょう。